浅井咲子さん(ヴィオレッタ)
江戸川区役所近くにお店を構えるレストラン「ヴィオレッタ」。
様々な小松菜商品が増え続けている中、2005 年 8 月に「小松菜カレー」が誕生してから今年でちょうど 20 年を迎えました。
「カレーをやろうとなってから、西葛西のインドカレー屋を経営している江戸川インド人会会長さん(以下、会長さん)をいとこから紹介されて。そこでほうれん草カレーを食べた時に、江戸川区にこだわって小松菜にしようと思いました。」
ほうれん草から着想を得て、小松菜を使ったカレー作りを決意したと話すのは、江戸川区で 50 年料理教室を開講し続けているという、店主の浅井咲子さん。
具材には、意外なものが使われていました。
「何を入れようか考えたんですけど、浮かんでくるのがどうしても厚揚げなんですよ。小松菜と厚揚げの煮物のイメージからね。それなら和風っぽくしめじもいいかなぁって。」
小松菜との相性が良い厚揚げやしめじを入れることで他にはない独自性が生まれます。
浅井さんは当初、味の基盤となるカレールー作りの際に、スパイスのブレンド方法と、小麦粉や油を使わない方法を模索していました。
「例えば玉ねぎでとろみをつけるには相当な量が必要で、飴色になるまで炒めないといけない。気が遠くなる、どうしよう・・・って悩んでいたら会長さんが、うちのお店で使っているルーをベースにしてみたら?と言ってくださったんです。」
小松菜カレー作りのきっかけを与えてくれた会長さんからの一声が大きな助けとなりました。
「3kg くらいのかたまりを分けてもらって作ってみたらおいしかったので、ああ、これを日本人の好みにアレンジすればいいんだって思ったんです。今でもこのルーを使って工夫を重ねています。」
開発当時から続いてきた味を大切にしている浅井さんですが、メイン食材である小松菜を入れるうえでも一苦労があったそうです。
「小松菜って、繊維がしっかりしてるんですよ。だからといってあまりにも茹ですぎると色が悪くなってしまいます。程よく茹でたら水気を絞ってフードプロセッサーにかけるんですけど、絞りすぎると回らない。それに、ある程度水分を残しておいたほうがカレーにも混ざりやすい。そのあたりのちょっとしたコツがあるんです。」
長年料理と真摯に向き合う中で、お客様に喜んでいただくための努力を欠かしませんでした。
様々なこだわりの詰まった小松菜カレーは、ご飯とも、ナンとも相性抜群。
最近では、新しい試みも始めたとのことです。
「2024 年からはメティ(インドのハーブの一種)の葉を小松菜カレーに追加して、『小松菜&メティカレー』と名前を変えてお出ししています。メティはインドの方が日常的に召し上がる食材で、フレッシュさが欲しいという声から生まれました。」
変わらぬ味や人とのご縁を大切にしながらも進化を続ける小松菜カレー。
江戸川区ならではの味わいを、ぜひ一度ご賞味ください。

(ライター:山田志織)








