真利子 忠篤さん(まりこ農園)
江戸川区内で小松菜を使用した名産品が増える中、2023年10月に『小松菜の豆乳ポタージュ』が仲間入り。開発したのは食品メーカーではなく、なんと小松菜農家の『まりこ農園』だ。
「もともとは出荷できない規格外の小松菜を廃棄するのはもったいないということで、豆乳とコンソメを混ぜてポタージュにして家族で飲んでいたんです。しかし限界があり、他に活用法はないかと悩んでいました」と話す真利子忠篤さん。
そんな折、チャレンジ農業支援センターの説明会があり、加工品に対する助成金制度や商品開発の専門家とつないでくれる仕組みがあると知って、『小松菜の豆乳ポタージュ』の商品化を決意した。
とはいえ、売れなかったらどうしようといった不安もはったはず。
「確かに不安はありました。ただ、アクションを起こすことによって、いろいろな方との出会いが生まれれば面白いのではないかという気持ちのほうが先行していました。小松菜を廃棄する方もいれば、それを活用したいという飲食店もあります。加工業者との繋がりもできるはずなので、商品化の成功失敗ということではなく、その先に何かがあるだろうとワクワクしていたのを覚えています」
そのような気持ちで臨んだ商品化ではあったが、ビジネスである以上、単なる家庭の味では通用しなかった。
「自宅で飲んでいたポタージュはシンプルな味でしたので、これだったら真似されるだけでお金を出して買ってもらえるものにはなりづらいと専門家から言われました。つまりオリジナル性を出す必要があるということです。そこでレシピを考えていただき、試作を繰り返しながら、約2年かけて完成にたどり着きました」
出来上がったとろみのある濃厚なポタージュは、そのまま飲んでもおいしいし、パンにつけて食べてもOK。パスタに絡めたり、スープパスタとしても十分満足できる。
さらに、この『小松菜の豆乳ポタージュ』には他にもこだわりがある。
「農業と福祉の連携(農福連携)を目指して、自立支援センターの『ジョブアンティ』さんにパッケージの組み立てをお願いしています。正直、自分たちでもできるのですが、江戸川区は福祉にも力を入れているんだぞっていうところも強調したかったですし、そういう方たちとの出会いが生まれるのも楽しいですよね」
当初抱いていた“いろいろな方との出会い”がここでも生まれた。フードロスや福祉へ貢献しながら、おいしいものを届ける。時代の流れと合致する『小松菜の豆乳ポタージュ』に今後ますます注目してほしい!
(ライター:滝沢ヤス英)